刀に魂がこもる
刀は、鉄美術品の世界最高峰です。また、武器であったものが、美術品として今も制作されているのは、刀だけです。世界中で、刀だけが武器のレベルを超えてしまったのです。実は、この刀の美しさ、それは武士の魂の美しさによって作られたものでした。
武士には、切腹という特権があります。切腹は、死刑のような償いではありません。心の清らかさの最高の証明手段として、武士だけに許された尊い実証行為です。命は、何よりも尊いものですが・・・、武士は潔く清らかに生きることに、命の、より美しい価値を見出したのです。それを【武士の魂】といいます。
その武士の魂に、感化されない人間はいませんでした。例えば、江戸の文化や江戸っ子気質などは、武士の魂からの感化です。刀鍛冶などは、真っ先に武士の魂に感銘します。刀鍛冶の最高峰は、【正宗】です。彼の作った刀は、すべて国宝または国宝級の価値があります。特に、彼の短刀は素晴らしく、この世に並ぶものはありません。それは正宗が、武士の魂の散り際(切腹)に、見合うほどの短刀を作りたいと、生命を懸けて製作したからでした。
正宗ばかりではありません。日本中の刀鍛冶が、【武士の魂に似合う刀を作る】と、祈る心で鍛錬しましたから、刀は類のない美術品になっているのです。武士の生き方が、日本のすべてを美しくしたので、武士に憧れる人は、今でも、とても多くいるのです。
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